kipp輪読会のご紹介

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kipp輪読会のご紹介の目次

  • 輪読はじめました
  • 輪読はよいものだ
  • 『論理学をつくる』の感想
  • 業務に役に立つか
  • 輪読は続く

はじめまして、浅野と申します。

kippではプレイングマネージャーとして、プロダクトマネジメントチームをリードしています。kippにジョインする前はGoogle社でGoogle Ads(当時はAdWordsという名前でした)やGoogle Analyticsのエキスパートとして勤務しておりました。FinTech未経験で転職してきたこともあり、業界知識やソフトスキル含め学び続ける毎日を過ごしています。

輪読はじめました

今回のブログ記事では、kippで行っている輪読の取り組みについてご紹介します。kippでは社員の自主学習を推奨しており、スキルや知識を身につけるための学習も業務時間中に行うことが許可されています。業務に関係する書籍は基本的に経費として申請できますし、有料の講座も一部または全額補助された実績があります。輪読はこのような自学推奨の取り組みの一環として、CTO冨田の旗振りで開始されました。参加者全員で1冊の本を読み、回毎の担当者が学習内容を解説するという、大学のゼミや研究室では馴染みのある学習方法ですね。

記念すべき第1回目の輪読本は、戸田山和久著『論理学をつくる』です。フルリモートで業務しているkippでは、メンバー全員に論理的な思考とコミュニケーションを求めています。しかしそもそも「論理的」とはどのようなことか、という根本にアプローチしているのがこの本です。私の論理学の知識は高校の数学Aとエンタメ的な論理パズル程度しかなく、一から学ぶよい機会だと捉えて輪読に参加しました。

輪読はよいものだ

私が最後にまともな輪読をしたのは学部時代のゼミが最後ですが、全員の理解を促進する素晴らしい学習方法だと改めて感じました。「自分が担当するところだけ読んであとは他の人の発表を聞き流せばいい」などと思っていたわけではありませんが、実際全くそのようなことはなかったです。他人の発表中でも定理の証明や練習問題に回答するよう振られることがあるので、発表内容に集中し、理解できなければ都度進行を止めて質問する姿勢が必要です。少人数での実施のため何回も発表担当が回ってくるということもあり、皆アクティブな聞き手として積極的にセッションに参加していました。自分の担当回では内容にツッコミがこないか、タフな質問がこないかとヒヤヒヤしていましたが、そういうところも含めていい体験でした。

『論理学をつくる』の感想

結論から言うとかなり難易度が高かったです。私がガチガチの文系なのもありますが、「論理学って逆・裏・対偶とかだよね」という程度の認識で読み始めると序盤から度肝を抜かれます。

『論理学をつくる』という書名のとおり、まずは最も原始的な論理言語を構築するところから始まります。その後、意味論的なアプローチと統語論的なアプローチの両方を取りながらより複雑な論理言語へと発展させていきます。数学でいうと、以下を厳密に定義しながら論をすすめるという感じです。

  • 「1」「2」「+」「=」という文字・記号の配置ルール(統語論、シンタックス)
  • それぞれの文字・記号の意味(意味論、セマンティクス) 本の中では当然上記の逆・裏・対偶の概念も出てきますが、本当に一瞬で通り過ぎてしまうので私の数学A知識が役に立つことはありませんでした。

「数学は絶望的なまでに積み重ねの学問である」と絹田村子著の漫画『数字であそぼ。』で言っていましたが(うろ覚え)、この本の内容がまさにそれです。過去に出てきた定義や定理、証明を理解できていないと永遠に論理言語の海を漂うことになります。個人的には続々と追加される記号とそれらの意味づけの理解(あと口に出すときの読み方も)に苦労しました。

業務に役に立つか

本自体の難易度もあってか、三分の一程度進んだところから脱落者が出始めましたが、過半数は完走できました。とはいえkippでの業務に直接的に結びつけやすいのは序盤の内容なので、そこまで全員が到達できたのは良かったです。中盤以降についても、単純化された命題よりも複雑な、より現実世界で我々が取り扱う自然言語に近いところまで論理言語を拡張するという内容なので、日常的な会話を論理的に捉える上での解像度があがりました。

『レオン』という映画を最近見ていたんですが、作品中の会話で以下のようなものがありました。

マチルダ:「豚は臭いから嫌」
レオン:「臭くない豚もいる」

私はこの会話を聞きながら、以下のようなことを考えていました。
「∀xSx,∀xSx↔Hmxだというマチルダに対して∃x¬Sxだからその論理は成り立たないとレオンは主張しているんだなァ」
ということで、輪読の内容は確かに身になっているのだと実感できました。今後業務でもそのように活用していけるとよいのですが。

輪読は続く

去年の第四四半期から続いた「論理学をつくる」の輪読も2023年7月で一段落したので、また別の本で輪読を続けていきます。次に取り扱う本は『アンガーマネジメント11の方法』です。またしてもFinTechと直接関係ない内容です。しかし感情をうまくコントロールし、怒りを正しい方向に向かわせることは業務だけでなく人生にも通ずるテクニックですので、ぜひこの本からその方法論を吸収していきたいですね。

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